プロペシアの正規ジェネリック医薬品について

イラスト男性の【はげ】にはいろいろな種類がありますが、そのほとんどがAGA-男性型脱毛症となります。AGAは思春期以降に発症することがある脱毛症の一種で、生え際や頭頂部から徐々に薄毛が進行してしまう脱毛症で、人によっては生え際と頭頂部の薄毛が同時に進行してしまう場合もあります。

このAGA-男性型脱毛症に最も効果的とされる経口薬がプロペシアとなります。プロペシアは米メルク社が研究開発を行い、1997年12月22日にFDA-アメリカ食品医薬品局に認可された世界初めてのAGA-男性型脱毛症治療用経口薬となります。

その後、このプロペシアを真似るようにインドを始め様々な国の製薬会社でプロペシアの有効成分であるフィナステリドを使用した、AGA-男性型脱毛症治療薬の製造販売され始めます。これらプロペシアが製造販売された後に製造販売されたフィナステリド錠をプロペシアのジェネリック医薬品と世間的には呼んでいますが、実はこれらは本当に意味でのジェネリック医薬品ではないのです。

具体的には、「フィンペシア」「フィナロイド」「フィナロ」「エフペシア」「フィライド」「ハリフィン」などがこれに当てはまります。
※これらのフィナステリド錠については、【ジェネリック医薬品とはげ薬】で紹介しています。

有効成分や効果・効能が同じなのに何故ジェネリック医薬品と呼べないのでしょうか?

結論から言ってしまうと、世界的にジェネリック医薬品と呼ぶためには大前提として、新薬(であるプロペシア)の【物質特許】【用途特許】の期間が満了している必要があるのですが、米メルク社が保有するこれら2つの特許期間が満了するのは2019年とされています。つまり2016年現在では特許が満了していないため、プロペシアのジェネリックを製造販売すること自体が本来であれば不可能なのです。

世界イメージ画像これは日本だけの話ではなく、特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に加盟する世界中の国々に同じことが言えます。

ただし、各国諸事情により全ての国で全ての特許法が統一されている訳ではありません。医薬品に関しての特許で言えばインドでの【物質特許】がこれにあたります。

【物質特許】とはその名の通り新しい物質を発見した際、その物質を保護する特許でプロペシアの場合はプロペシアの主成分であるフィナステリドがこれに該当するのですが、インド国内では「健康に関わる重要な項目」として2005年までこの【物質特許】を認めていなかったのです。

その為、インド国内では国内外を問わずに新薬が製造・販売されたら、物質特許の期間が満了しなくても合法的に新薬と同じ有効成分を使用した医薬品を作ることができたのです。これらの医薬品はインド国内では合法的なジェネリック医薬品だとしても、特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に加盟している(日本も含めた)先進国では特許侵害となってしまうためジェネリック医薬品とは認めていないのです。

世界的に見れば医薬品に関わる特許の期間が満了していないジェネリック医薬品はジェネリックではなく、コピー医薬品・模倣医薬品という位置づけが正しいのかもしれません。

矛盾!!日本国内でプロペシア正規ジェネリック医薬品は既に流通している。

前述で説明している通り日本国内におけるプロペシアについての重要な医薬品に関わる特許の満了は2019年と推察されていています。ということは国内でコピー医薬品や模倣医薬品が流通していても、正規のジェネリック医薬品は流通していないことになりますが、実は既に日本国内において、いくつかの製薬会社がプロペシアのジェネリック医薬品を製造・販売を開始しそれが既に日本中で流通しているのです。

これはインターネット通販などで購入できるコピー・模倣医薬品ではなく日本の厚生労働省が正式に認可した正真正銘のプロペシアのジェネリック医薬品です。

プロペシア正規ジェネリック医薬品一覧

リスト
  1. フィナステリド錠「ファイザー」
  2. フィナステリド錠「サワイ」
  3. フィナステリド錠「クラシエ」
  4. フィナステリド錠「トーワ」
商品名 フィナステリド錠「ファイザー」
製薬会社 ファイザー株式会社 本社 東京都渋谷区
価格/1箱28錠
4,900円
1日あたり/175円 価格/1箱140錠
22,500円
1日あたり/160円
イメージ画像
ファイザー製薬プロペシアジェネリックイメージ画像

出典:男性型脱毛症用薬「フィナステリド錠」を4月6日に発売。後発医薬品として日本初
備考 世界初のED(勃起不全)治療剤、バイアグラで有名なファイザーですが、日本で初めてプロペシアの正規ジェネリック医薬品の販売を開始したのもファイザーとなります。

ファイザー株式会社は、2015年2月にフィナステリド錠の製造販売の承認を取得し、同年の4月にフィナステリド錠0.2mg「ファイザー」同じくフィナステリド錠1mg「ファイザー」の販売を開始しています。

商品名 フィナステリド錠「サワイ」
製薬会社 沢井製薬株式会社 本社 大阪市淀川区
価格/1箱28錠
4,300円
1日あたり/153円 価格/1箱140錠
20,000円
1日あたり/142円
イメージ画像
フィナステリド錠サワイ

出典:フィナステリド錠0.2mg「サワイ」・フィナステリド錠1mg「サワイ」の製造販売承認を取得
備考 ジェネリック医薬品製造販売の最大手である沢井製薬株式会社は2016年2月にフィナステリド錠の製造販売の承認を取得し3月より販売を開始しています。ファイザーに次いで、国内で正式に認可された2つめのプロペシアジェネリックとなります。

価格的にはファイザーのフィナステリド錠よりも、1日辺り換算で約20円程安くなっており、同じジェネリックでも後で発売されたジェネリックの方が安くなる傾向があります。

商品名 フィナステリド錠「クラシエ」
製薬会社 クラシエ製薬株式会社 本社 東京都港区
価格/1箱28錠
4,300円
1日あたり/153円 価格/1箱140錠
20,000円
1日あたり/142円
イメージ画像
クラシエフィナステリド錠イメージ画像

出典:クラシエの男性型脱毛症治療薬
備考 大衆薬・一般用医薬品部門業界首位のクラシエ製薬株式会社からもフィナステリド錠が販売されています。承認取得時期については、沢井製薬同様2016年2月となっており販売開始時期については、沢井製薬より1ヶ月遅れの2016年4月となっています。

価格帯については、沢井製薬と同等となっています。

商品名 フィナステリド錠「トーワ」
製薬会社 東和薬品株式会社 本社 大阪府門真市
価格/1箱28錠
4,300円
1日あたり/153円 価格/1箱140錠
20,000円
1日あたり/142円
イメージ画像
フィナステリド錠トーワイメージ画像

出典:フィナステリド製剤の製造販売承認を取得
備考 ジェネリック医薬品大手企業である東和薬品のフィナステリド錠。2016年9月に製造販売の承認を取得し、同じ月に販売を開始しています。


他にもいくつか大手製薬会社のプレスリリース等を確認してみましたが、2016年10月現在この4社がプロペシアの正規ジェネリックを製造・販売しているようです。(AGA-男性型脱毛症治療薬としてプロペシア市場はとても大きいので今後参入してくる製薬会社も増えてくることが予想されます。)

憶測が飛び交うプロペシアの正規ジェネリック医薬品

前述の通り、プロペシアの重要な医薬品特許の満了は2019年と推察されています。では何故実際にプロペシア・ジェネリックの製造販売の承認が下り実際に販売されているのでしょうか?

そもそも医薬品の特許は出願日から20年となっています。ただし、研究・開発・安全性の確認などに必要とされる費用や新薬発明に見合う収益を確保できない場合、最高で5年間特許満了までの期間を延長することが可能です。つまり特許出願より最高で25年間、独占的に新薬を使用することができるのです。

プロペシアの特許出願は1994年です。またプロペシアは優れた【はげ薬】で研究や開発に膨大な費用を要しているため、特許の存続期間は最高の25年。つまり

1994年【特許出願】+25年【存続期間】=2019年【特許満了】
というのが大方の予想となっていました。

噂話イメージ画像そのため、ファイザー株式会社が2019年を待たずして(2015年に)プロペシアジェネリックの製造販売の承認を取得した時、「ジェネリックを販売するためにメルク社に資金提供をしている」「特許を無効にできる裏情報を持っている」などの噂が広まったのです。

これがファイザー株式会社の一社だけなら納得できたのですが、翌年の2016年には「沢井製薬」「クラシエ製薬」「東和薬品」などもフィナステリド錠の製造販売の承認を取得したためメルク社への「資金提供」や「裏情報」の線は限りなく低くなってきました。複数の製薬会社がによる資金提供やジェネリック製造販売の承認を得るための裏情報の共有は考えにくい為です。

となると、怪しくなってくるのが特許の存続期間延長の5年間です。実は今最も有力なのが「特許存続期間の延長はなかった」説です。延長の5年が無いとなると、

1994年【特許出願】+20年【存続期間】=2014年【特許満了】
特許が満了を迎えたため2015年に「ファイザー」が、2016年に「サワイ製薬」「クラシエ製薬」「東和薬品」が続々とジェネリック製造販売の承認を取得と、辻褄が合ってくるのです。

プロペシア正規ジェネリックとコピー・模倣医薬品の違い

では正規品と海外(インターネット通販)などで購入できるコピー・模倣品とはどう違うのでしょうか?なんとなくわかっているようでも聞かれてみると答えられなかったりすると思います。ここでは一例を紹介させていただこうと思います。

一番肝心な効果・効能の違いは?

【正規品】【コピー・模倣品】のどちらも当たり前ですが主成分はフィナステリドを使用している為、基本的には効果は同じです。「海外の模倣医薬品は価格が安いので効果がでにくい。」なんて声も聞かれますが、悪質な通販サイトなどで粗悪な医薬品を購入しない限り問題ないでしょう。

ただし、主成分であるフィナステリドは同じでも、製薬会社によって添加物やコーティング剤が違ってきます。これらの影響で色や形・服用した時の吸収率が多少違ってきます。その為全てが同じという訳でもありません。

口コミ等でジェネリックの種類を変えたら「効果が出た」「効果がでなくなった」などの様々な意見が聞かれるのはこの違いが原因の1つとなっています。

安全性や保障は?

安心安全イメージ画像大きく違いが出てしまうのが、この安全性と保障についてです。フィナステリド錠に限らず全てのジェネリックは国基準の厳しい審査をクリアする必要があります。医療大国でもある日本はこの基準のレベルが非常に高く、効き目や安全性などが証明されないと各製薬会社はジェネリック医薬品を製造・販売することができません。

もちろん、海外製品にも同じことが言えますが、どうしても先進国である日本と、模倣医薬品を多く製造するインドなどの発展途上国とでは審査レベルに差が生じてしまっているのが実状です。

保障についても圧倒的に正規品のジェネリックの方が充実しています。というよりも海外からインターネット通販(個人輸入)で購入する医薬品には一切の保障はありません。フィナステリド錠に限らずインターネット通販にて医薬品を購入・服用した際、仮に重篤な副作用が発症した場合、その責任は全て自身にあるとお考え下さい。

逆に国内で購入できる(処方してもらう)フィナステリド錠はジェネリックも含めて厚生労働省に認可されおり、【医薬品副作用被害救済制度】の対象となります。医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品を適切にしようしたにも関わらず重篤な健康被害が出た場合、医療費や年金などの給付お行う公的制度のことを指します。

価格について

治療費イメージ画像ここで説明するまでもないと思いますが、2016年現在価格については圧倒的にコピー・模倣医薬品に軍配が上がります。

新薬であるプロペシアは1ヶ月辺り7000円~6000円程度に対して、正規ジェネリックは6000円~4000円程度となっています。

ほとんどの人は「確かに安くなっているけど・・・・・」となるでしょう。

これが、フィンペシアなどのコピー・模倣医薬品になると、なんと1ヶ月辺りに必要な薬代は1000円~2000円程度となるのです。フィンペシア等の模倣医薬品については、【ジェネリック医薬品とはげ薬】で紹介しています。

この辺はお財布と相談になってくると思いますが、結局のところ【安全・安心の正規品】をとるか【価格が安い模倣医薬品】をとるかの2択となってきます。ただ、はげ薬のフィナステリド錠は高血圧症を治療するための内服薬と同様に良い状態を保つためには治療薬を服用し続ける必要があります。

そのため経済的理由やその他何らかの理由で治療薬の服用を断念すると、再び【はげ】が進行してしまうことになり、今までの治療薬の服用が無意味になってしまいます。プロペシアやそのジェネリック医薬品は服用し続けることで意味がある治療薬ということを覚えておきましょう。

入手ルートの違い

【正規ジェネリック】と【模倣医薬品】とでは入手ルートが異なります。正規ジェネリックは新薬のプロペシア同様に総合病院や皮膚科・専門クリニックなどで処方してもらうことができます。逆に言うと新薬であるプロペシアも国内正規ジェネリックも医師の処方が必要になる処方箋医薬品にカテゴライズされているため、インターネット通販や薬局などで気軽に購入することはできません。

続いてフィナロイドやフィンペシアなどの【模倣医薬品】についてですが、そのほとんどがインターネット通販になります。フィンペシアについては、専門病院やクリニックで購入できる所があるようですが、安全性の観点から減少傾向にあります。

まとめ

日本国内でプロペシアの正規ジェネリックが発売開始されたことは非常に朗報で、新薬であるプロペシアでAGA-男性型脱毛症治療を進めているのであれば、価格が安くそれでいて治療薬の安全性や効果が厚生労働省に保障されている正規ジェネリックを使用することを強くお勧めします。

これは、当方だけが推進しているのではなく、高齢化が進み医療費財源が圧迫されている日本では治療薬の安いジェネリックを使用することを国として推進しています。

困るイメージ画像ただ、フィンペシアなどの海外製の模倣医薬品でAGA-男性型脱毛症の治療を進めてきた方にとっては、価格的な面や通院が必要となる時間的な面などでなかなか正規ジェネリックに切り替えることができないのが実状となっています。

その証拠に正規ジェネリックが発売開始されて以降でも、AGA-男性型脱毛症治療を海外製の激安フィナステリド錠で行う方の方が圧倒的に多くなっています。

2016年現在、正規ジェネリックとしてフィナステリド錠を取り扱う製薬会社は「ファイザー株式会社」「沢井製薬株式会社」「クラシエ製薬株式会社」「東和薬品株式会社」の4社となっていますが、フィナステリド錠の需要は決して低くないため、今後これに参入する製薬会社も増えてくると考えられます。製薬会社が増えれば増えるほど価格競争が起こり値段が下がってくると思われますが、それはしばらく先の話となりそうです。

価格の安い海外製のフィナステリド錠は【ジェネリック医薬品とはげ薬】で紹介しています。

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