分娩後脱毛症
分娩後脱毛症【ぶんべんごだつもうしょう】は女性特有の脱毛症でその名の通り出産後一時的に髪の毛の抜ける量が増えてしまう脱毛症のことを言いいます。分娩後脱毛症は他の脱毛症とは違い一般的には放置していると自然治癒するので、特別神経質になる必要はないでしょう。
分娩後脱毛症【ぶんべんごだつもうしょう】の原因
出産後一時的に抜け毛が増える分娩後脱毛症の原因には《女性ホルモン》と《ヘアサクル》が深く関わっています。
女性ホルモンは髪の毛の抜けにくくする
まずは女性ホルモンについてですが、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)は妊娠・出産するためにとても大切な役割を持つホルモンです。そのため、妊娠すると卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が増加します。実はこの卵胞ホルモン(エストロゲン)には髪の毛の育毛を促し抜けにくくする働きを持つのです。
つまり、妊娠すると卵胞ホルモン量が増加するため妊娠していない時よりも髪の毛が抜けにくい状態になっている訳です。ではどうし分娩後(出産後)に抜け毛が増えるのでしょうか?
女性ホルモンとヘアサイクル【毛周期】
髪の毛の一生【ヘアサイクルー毛周期】で詳しく紹介していますが、髪の毛はその1本1本に寿命があり、4年~6年で抜け落ち、そして同じ毛穴からまた新しい髪の毛が生えてきます。この繰り返しをヘアサイクル【毛周期】と呼びヘアサイクルは《成長期》《退行期》《休止期》の3つの期間に分かれます。
この3つの期間を大まかに説明すると、成長期には髪の毛を作り出す毛母細胞が活発に働き髪の毛を成長させ、退行期にはこの細胞分裂が弱まります。そして休止期に入ると髪の毛を作り出す毛母細胞の分裂が完全にストップし髪の毛が抜け落ちします。
妊娠して女性ホルモンの働きが活発になると髪の毛が抜けにくくなりますが、これは本来であれば休止期に突入し抜け落ちるはずだった髪の毛が妊娠による女性ホルモンの増加で、無理矢理休止期に入らないようにしているだけなのです。
つまり、出産後女性ホルモンの量が通常に戻ると今まで無理矢理休止期に入らないようにしていた髪の毛が一気に休止期に突入し髪の毛が抜け落ちてしまう。これが分娩後脱毛症の正体です。
繰り返しになりますが、他の脱毛症とは違い深刻な問題ではありません。何もしなくて健常者であれば、1年程度で元の髪の毛の量に戻るので神経質になる必要はありません。
ただし、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)量は年齢を重ねるごとに減少していきます。そのため高齢者出産の場合、元々の女性ホルモン量が少なく髪の毛の量がなかなか元に戻らない場合があります。
また、例え若くても育児などで日常的に強いストレスを感じていると抜け毛の量が減らず分娩後脱毛症が治癒しにくい場合もあります。
余談ではありますが、生理(月経)時に抜け毛が増えるのもこの女性ホルモンのバランスが乱れることが原因の1つとなっています。