はげ治療専門病院で処方される薬と治療方法
AGAクリニックと呼ばれる【はげ治療専門】の病院には様々な処方薬と治療方法が存在します。初めて病院にて治療を検討している方には不安や疑問に思おうことも少なくないと思います。ここでは具体的に【はげ治療専門病院】でどのような薬を処方されて、実際にどのような治療方法があるのかを見ていきたいと思います。
- フィナステリド錠の処方
- ザガーロカプセルの処方
- ミノキシジルの処方
- オリジナル治療薬の処方
- AGAメソセラピー注入治療
- オリジナルヘアケア商品
- 植毛
- 幹細胞再生治療/HARG‐ハーグ療法
1.フィナステリド錠の処方
出典:AGA-news
AGAクリニックで最も使用される頻度が高いと言える処方薬がこのフィナステリド錠です。AGA-男性型脱毛症はDHT-ジヒドロテストステロンの増殖が原因で進行してしまう脱毛症です。そしてDHT-ジヒドロテストステロンは5α-(リダクターゼ)還元酵素Ⅱ型の影響でテストステロンと呼ばれる男性ホルモンが変化したのもです。
フィナステリドは5α-(リダクターゼ)還元酵素Ⅱ型の働きを抑制させテストステロンがDHT-ジヒドロテストステロンに変化しないように働きかける薬となります。
フィナステリドはアメリカのメルク社が研究・開発したAGA-男性型脱毛症治療薬(商品名:プロペシア)ですが、現在日本ではプロペシアのジェネリック医薬品として、【ファイザー株式会社】【沢井製薬株式会社】【クラシエ製薬株式会社】【東和薬品株式会社】からフィナステリド錠が発売されていて、クリニックによってはプロペシアよりも価格が安いこれらジェネリックを優先的に取り扱っている所もあります。プロペシアのジェネリックについては以前、プロペシアの正規ジェネリック医薬品についてで記事にしています。
ちなみに、フィナステリドは厚生労働省がAGA-男性型脱毛症の治療薬として承認している数少ない薬の成分の1つです。プロペシアについては、はげ薬で紹介しています。
2.ザガーロカプセルの処方
2015年9月に承認され2016年6月に販売が開始されたザガーロカプセル。このザガーロカプセルはプロペシア錠に次いで厚生労働省に承認された2つめの5α還元酵素阻害薬となります。
プロペシアとの大きな違いは「薬理作用の強さ」「薬価」「副作用」の3つとなります。1つ目の薬理作用の強さについてですが、ここがプロペシア錠との一番大きな違いとなります。【はげ】が進行してしまう大きな要因として5α還元酵素の働きが深く関わっているのは先程のプロペシア錠で説明させていただいている通りです。
5α還元酵素は2種類あり、1つが5α還元酵素1型。そしてもう一つが5α還元酵素2型となります。プロペシアの有効成分であルフィナステリドは2型のみに効果があるAGA治療薬となるため、脱毛の原因が1型の場合は脱毛症の改善は期待できませんでした。
これとは違いザガーロカプセルは5α還元酵素1型・2型共にその効力を発揮する5α還元酵素阻害薬となっています。また、5α還元酵素2型単体を見てもプロペシア錠よりいも薬理作用が強いことがわかっています。そのため、プロペシア錠での治療で効果が出なかった方でもザガーロカプセルに切り替えることで脱毛症が改善される可能性があります。
2つ目の大きな違いが「薬価」です。ザガーロカプセルは(2017年現在)まだまだAGA治療薬として研究・開発されて間もない新薬となります。新薬を開発した製薬会社には、高額な研究・開発費を回収するため、特許を出願することで20年~25年程度その治療薬を独占的に販売する権利を与えられます。
そのため、プロペシア錠とは違い、日本国内で正式に認可され競合商品になるようなザガーロカプセルのジェネリック医薬品を販売することができません。また、もともと薬価の設定も高くなっていて、価格帯は医療機関によって異なりますが、プロペシア錠の1.5倍程度の値段になっていることが一般的です。
そして3つめの違いが副作用となります。どちらの治療薬も男性ホルモンに作用する成分となるので、発症する副作用の種類は「性欲減退」「勃起不全」「精液減少」など同じ項目が並びますが、薬理作用が強いザガーロカプセルの方が副作用の発症率が高くなって、臨床試験においてはザガーロカプセルはプロペシア錠よりも4倍程度の副作用が認められています。
3.ミノキシジルの処方
フィナステリド錠と同様に、はげ治療に使われることが多い成分がこのミノキシジルです。ミノキシジルは《米》ファイザー(当時・アップジョン社)が高血圧症の治療薬として製造していましたが、後に副作用として育毛効果が見られたため、はげ治療薬として研究開発が進み現在に至ります。日本国内では【はげ薬】の外用薬としてリアップシリーズが有名だと思いますが、リアップの有効成分はミノキシジルということをご存知でしょうか?
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ミノキシジルの効果は、先にも触れていますが高血圧症を治療するための血管拡張効果です。髪の毛は頭皮に張り巡らされた血管を流れる血液から成長に必要な栄養を受け取っていますが、薄毛や抜け毛が進行している人は特徴として血管が収縮し血流が悪くなっていることが多く見られます。ミノキシジルは薄毛や抜け毛の原因である血管の収縮を改善する働きがあるのです。
またミノキシジルと先ほど紹介したフィナステリド錠は薬理作用が異なるため併用することが可能。さらに互いの薬理作用で相乗効果が期待できるとされています。そのため、はげ専門病院では【フィナステリド】と【ミノキシジル】を使用する場合が非常に多くなっています。
ミノキシジルの内服薬と外用薬
ミノキシジルにはタブレットタイプの内服薬(錠剤)とリキッドタイプ外用薬(塗り薬)があります。専門病院によって異なりますが、どこの病院でも両タイプ取り扱っている訳ではありません。理由は様々ですが、まず第一に言える事が厚生労働省で認可されているかどうかというところです。
ミノキシジルは外用薬(リアップシリーズ)、つまり塗り薬としては厚生労働省に認可されていますが、内服するタイプのミノキシジルタブレット(通称ミノタブ)は認可されていないのです。
これはどういうことかと言うと日本には【医薬品副作用被害救済制度】というものがあり、用法・用量を守り正しく医薬品を使用したにもかかわらず重篤な健康被害等の副作用が確認された場合、その医療費や年金などを給付する制度があるのですが、ミノタブは厚労省に承認されていないため、この公的制度を受けることができないのです。
公的制度を受けることができなくてもAGAクリニックではミノタブを処方するケースがあります。理由は簡単です。頭皮に塗布する外用よりも直接体内に取り込む内服の方が、発毛効果が高いのです。ここは専門医と十分相談する必要がでてくる部分ですが、要は「発毛効果が小さくリスクも少ない外用」か「発毛効果が高くリスクも高い内服」にするか最終的に決めるのは患者自身になってきます。ミノタブのリスクについては【危険?ミノキシジルタブレット】で記事にしています。
4.オリジナル治療薬の処方
一昔前までは、はげ専門病院の数はそれほど多くはありませんでしたが、TVCMやインターネット等でAGAという脱毛症が浸透してきた昨今、はげ専門病院は徐々に増え始めています。
AGA-男性型脱毛症に頭を抱える人にとっては朗報ですが、病院を運営する側からすると競合が増えることになります。ここで必要になってくるのが他のクリニックとの差別化です。実は、AGA-男性型脱毛症の治療に効果的な内服薬や外用薬の成分は先ほど紹介させていただいた「フィナステリド」や「ミノキシジル」ということは以前よりわかっていたので、どうしても治療の中心はこれらの成分が含まれた治療薬の処方が主になっています。これは2017年現在でも変わりありません。
ここで登場するのがオリジナル内服薬や外用薬の処方です。
基本的に治療薬の主成分はフィナステリドやミノキシジルとなりますが、ここに【ビタミン】【ミネラル/亜鉛】【アミノ酸】等育毛・発毛に必要な成分を独自に調合し、よりその効果を高めるオリジナル内服薬・外用薬で他のAGAクリニックと差別化を図ろうとする病院が増えてきています。
5.AGAメソセラピー注入治療
2017年現在最もAGA-男性型脱毛症に効果的とされるのがこのメソセラピー注入治療です。メソセラピーはリキッドなどの塗り薬、タブレット等の内服タイプとは異なり、脱毛箇所に直接、育毛や発毛に必要な発毛成長因子や栄養分を注入することにより発毛を促します。
AGAメソセラピー注入治療は治療費が高額になってしまいますが、他の治療法にはないメリットがたくさん存在します。
まず言えるのが治療効果です。内服タイプはとは違いメソセラピーは脱毛箇所に直接育毛・発毛に必要な成分を注入するため、他の治療法と比べると短い期間でより高い治療効果を期待できます。
外用薬は脱毛箇所に直接と言えば直接になるのですが、頭皮(皮膚)という分厚い壁の前にどうしても有効成分の吸収率は低くなってしまい、頭皮の内側に有効成分を注入すメソセラピーと比較するとやはりその効果は期待できません。
AGAメソセラピーに使用される成分は、ミノキシジルやケラチン細胞増殖因子・繊維芽細胞増殖因子・インスリン様成長因子をはじめ、コエンザイムQ10やヒアルロン酸、ビタミン各種などになりますが、細かい部分は各AGAクリニックで異なってきます。
6.オリジナルヘアケア商品
はげ専門病院ではその他にも、独自に研究・開発したシャンプー・コンディショナー・トリートメント・サプリメント各種など様々なオリジナルヘアケア商品を取り扱っている場合が多いです。
中には、ドラックストア等で気軽に購入することができない医師の診察が必須になるような、成分の効力が強いヘアケア商品を取り扱っているところもあります。
ただし、こういったオリジナルヘアケア商品は【はげ専門病院の治療】との相乗効果でその効果を期待できるものが多く、それ単体で劇的な育毛・発毛を期待できるものではありません。もし、シャンプー・トリートメントまたはサプリメント等、日常でのヘアケアアイテムで「はげが治る」「フサフサになる」といった誇大広告をしている場合は、はげ治療専門病院に関わらず、はじめから疑いの目で見ていった方が良いでしょう。
7.植毛
脱毛症が進行すると、基本的に「生え際」や「頭頂部」の髪の毛がやせ細ったり抜けやすくなります。逆に「側頭部」や「後頭部」の髪の毛は比較的脱毛症が進行しにくい部位と言えます。これは、主なAGA-男性型脱毛症の原因となる男性ホルモンDHT-ジヒドロテストステロンが「生え際」や「頭頂部」で増えやすく、「側頭部」や「後頭部」で増えにくいためです。
植毛とはAGA-男性型脱毛症の特徴を利用して「側頭部」や「後頭部」の髪の毛を気になる部分に移植する施術のことを指します。もちろん、植毛は手術が必要となるため、一般の育毛サロン等では受けることができず、医療機関であるAGAクリニックや【はげ専門病院】と呼ばれる医療機関でないと受けることができません。
植毛の施術方法は多岐に渡りその費用も様々ですが、はげ治療の中で最も高額な医療と言ってよいでしょう。詳細は別記事で紹介させていただいております。
8.幹細胞再生治療/HARG‐ハーグ療法
「Hair Re-generative theraphy」-毛髪再生医療。
この頭文字をとったのがHARG-ハーグです。治療方法はAGAメソセラピーと似ていて頭皮下に直接、発毛や育毛に必要とされる成分を注入する治療方法です。違う部分は幹細胞から抽出した成長因子を含んでいるかどうかという所です。
私たち人間の体は卵子と精子が受精した(受精卵)1つの細胞が元となっていて、この細胞が分裂を繰り返すことにより全ての臓器や器官を生成しています。これにはもちろん髪の毛も含まれています。つまり最終分化する前の細胞(幹細胞)を利用することで髪の毛を作り出す毛母細胞やそれに指令を出している毛乳頭、また全ての臓器や器官を生成することが可能とされているのです。
そしてこの全ての臓器や器官の元となる幹細胞から抽出した成長因子を頭皮に注入することで薄毛が進行した状態から進行前の状態の頭皮(細胞)を作り出す再生医療こそが、幹細胞再生治療/HARG‐ハーグ療法なのです。
手法はAGAメソセラピーと似ていますが、メソセラピーは治療をやめてしまうと、育毛・発毛効果は停滞・後退してしまう場合が多いですが、HARG‐ハーグ療法は弱りきった毛母細胞や毛乳頭を再生する医療なので、治療をやめて発毛や育毛が停滞・後退してしまうことが少ない治療法となります。
また、フィナステリドやザガーロなどは男性のAGA【男性型脱毛症】治療に特化している治療薬となりますが、このHARG‐ハーグ療法に用いられる成長因子はフィナステリドやザガーロなどの男性ホルモンに直接働きかけるのではなく、薄毛や抜け毛が進行してしまう細胞自体を再生させる治療となるので、女性にも安心して薄毛治療にとりくんでいただける治療法となっています。