髪の毛のpH《酸性とアルカリ性の関係》

みなさん【pH】が何なのか覚えていますか?pHはペーパーまたはピーエイチと読み、水溶性の性質を表す単位でpH0~pH6までを酸性、pH7を水質基準とし中性、pH8~pH14までをアルカリ性と区分しています。小学生の時にリトマス紙を使用し液体が【酸性】【中性】【アルカリ性】かを調べる実験をされた経験があると思います。

実はこのpHは髪の健康と密接に関わりあっていて、髪の毛のpHをコントロールするこで、薄毛や抜け毛の予防に繋がる場合があるので是非参考にしてみてください。

髪の毛とその他のpH

酸性 酸性は収れん作用がありタンパク質を変性させ引き締める働きがある
pH1 pH1:塩酸
pH2:硫酸
pH3:クエン酸・レモン
クエン酸で髪の毛がサラサラに!?クエンサンが髪の毛に与える効果
pH2
pH3
pH4 pH4:食酢
pH5:酸性雨・※髪の毛や肌はpH5前後の弱酸性
pH6:雨
pH5
pH6
pH7-中性 pH7:純粋・水道水
pH8 pH8:重曹・海水
pH9:石鹸・ヘアカラー・パーマ液
低刺激で洗浄力が高い石鹸系シャンプーの特徴!!
pH9
pH10 pH10:消毒液
pH11:炭酸ナトリウム・ブリーチ(脱色剤)
pH11
pH12 pH12:水酸化カルシウム
pH14:水酸化ナトリウム
pH13
pH14
アルカリ性 アルカリ性は酸性の反対で膨潤作用があり、物体の体積を増加させる働きがある

上記のリストは酸性・中性・アルカリ性をイメージしやすいように、髪の毛に関わっている物のphと酸性とアルカリ性を示す代表的な物質をリストアップしたものです。

注目していただきたいのが、髪の毛のpHについてです。リストに表示している通り人間の皮膚や髪の毛は4.5~5.5程度の弱酸性となっています。これには理由があるのですが、詳しくは後程紹介させていただきます。

酸性とアルカリ性の特徴

酸性の特徴

酸性の酸とは水に溶けた時に水素イオンを放出する化合物でpHは0~6を示します。水素イオンの放出量が多ければ多い程、酸が強くなりpH値は0に近づいていきます。

塩酸・硫酸・クエン酸等○○酸と付くものや、柑橘類等の口に入れると酸っぱいと感じるものは基本的に酸性と理解して良いでしょう。

アルカリ性の特徴

アルカリ性のアルカリとは水に溶けた時に水酸化物イオンを放出する化合物でpHは8~14を示します。酸の時と同様に水酸化物イオンの放出量が多ければ多い程アルカリが強くなりpH値が14に近づいていきます。

口に入れると苦味を感じる物質で、代表的なものとして重曹や海水、水酸化ナトリウム等があげられます。

酸性とアルカリ性が髪の毛に与える影響

リストにも示している通り髪の毛のpHは本来5前後の弱酸性になりこの数値が最も自然で髪の毛が健康的に成長できる環境と言えます。ただ髪の毛は、シャンプーやリンス、トリートメントなどの使用でアルカリ側に傾いたり強い酸側に傾いたりします。特に、ブリーチやパーマなどは薬剤の効果が強く大きくアルカリ側に傾いてしまう場合があります。

髪の毛がアルカリ性に傾くと

髪の毛の構造イメージ画像pHの値は皮膚や髪の毛に様々な影響を与えますが、特に影響を受けやすいのが髪の毛のキューティクルです。髪の毛の構造で紹介しているように髪の毛は外側から順番に

  • 毛表皮(キューティクル)
  • 毛皮質(コルテックス)
  • 毛髄質(メデュラ)

の3層構造になっていて、その中でも一番外側に位置するキューティクルは髪の毛の外側をウロコ状に覆っていて、健康な髪の毛であればキューティクルが髪の毛の内側の層である【毛皮質(コルテックス)】【毛髄質(メデュラ)】を保護するように、隙間無くキュッと閉めるように配置されています。

もちろんキューティクルは髪の毛の手触り・見た目に大きく関わっていて、キューティクルが傷つくと髪の毛内部の栄養分や水分が徐々に抜けていき柔軟性が失われます。その結果、抜け毛や切れ毛が増え【はげ】が進行してしまう可能性があります。

このキューティクルが傷んでしまう原因の1つにキューティクルの開きがあげられます。そしてキューティクルが開いてしまう原因の1つに髪の毛のpHがアルカリ性側に傾くことがあげられるのです。

アルカリ性には膨潤作用というものがあり、物体の溶媒吸収率を上げて体積を増やす働きがあります。分かりやすく言うと髪の毛が水分を吸収しやすくなり、一時的に太くなりやすくなるということです。

ただし髪の毛が太くなっても、ウロコ状に髪の毛を覆っているキューティクルの数が増える訳ではないので、どうしてもキューティクル同士に隙間ができやすく、また水分の吸収率があがっているのでキューティクルが開きやすくなっているのです。

こういった髪の毛のトラブルを回避するためには開いたキューティクルはできる限りすばやく閉じる必要があり、ここで必要になってくるのが酸性のリンスやトリートメントとなります。

髪の毛が酸性に傾くと

シャンプーイメージ画像シャンプーは大きく、
【アミノ酸系シャンプー】
【石鹸系シャンプー】
【高級アルコール系シャンプー】の3種類に分けることができます。

この中でも「環境に配慮しつつも強い洗浄力を求めたい」等の理由で石鹸系シャンプーを使用している人であれば必ず経験している髪の毛の「きしみ」や「ごわつき」。これらが、アルカリ性の洗浄成分が原因であることをご存知でしょうか?

実は石鹸は材料や製法上の理由により必ずpH8-9程度の弱アルカリ性となります。当然この石鹸を材料に作られている石鹸系シャンプーもアルカリ性を示す訳です。前述で説明した通りアルカリ性の溶液は物体の体積を大きくする膨潤作用があり、この作用によって膨らんだ髪の毛のキューティクルは開いてしまいます。この状態を放置してしまうと髪の毛は徐々に傷み切れ毛や薄毛が進行してしまいます。

しかし、石鹸系シャンプーがこのような弊害しかないのであれば、石鹸系のシャンプーは普及していません。需要があるのはすでに対策法が確立されているからです。その方法が石鹸系シャンプー専用の「リンス」や「コンディショナー」・「自分で簡単に作れる弱酸性リンス」です。どちらも通販や薬局で手軽に購入することができますすので一度確認してみてください。


自作する場合は【クエン酸で髪の毛がサラサラに!?クエンサンが髪の毛に与える効果】を参考にしてみてください。

具体的に酸性が髪の毛に与える効果というのは、アルカリ性「膨潤作用」の逆で「収れん作用」となります。「収れん」とはタンパク質を変性させ組織を引き締める働きがあります。つまり、アルカリ性等の原因で開いたキューティクルを閉じる効果があるのです。

髪の毛や皮膚が弱酸性になっている理由

人間の身体はとても効率よくできていて、様々な事柄には全てといっていいほど理由があります。もちろん、髪の毛や皮膚がpH4.5~5.5程度の弱酸性になっているのにも理由があります。前述で説明している「キューティクルを引き締める」と言うのも理由の1つですが、もう一つ雑菌の繁殖を抑制するという大きな理由があります。

雑菌の繁殖を抑制する

私たちの身の回りには、人体に悪影響を及ぼす雑菌が数多く存在しています。もちろん全ての雑菌に当てはまる訳ではありませんが、これらの雑菌の多くはpH7~9程度の弱アルカリ性で繁殖しやすくなっていて、逆に酸性側に傾くと繁殖を抑制することができたり、酸に弱い病原菌などは死滅させることができます。その為に頭皮を含めた皮膚は弱酸性になっている訳ですが、このことには私たちが生まれた時から共存関係にある微生物、皮膚常在菌が深く関係しています。

菌イメージ画像「菌」と聞くと、どうしても病原菌等の悪い菌をイメージしてしまいますが、全ての菌が人体に害を及ぼす訳ではありません。腸内環境を整える善玉菌としてビフィズス菌や腸球菌などはみなさんご存知だと思います。

皮膚常在菌も同じで常在菌バランスが整っていると、身体にとって様々な良い効果をもたらしてくれます。その中の一つに皮膚を弱酸性に保つという効果があるのです。これは、皮脂腺から分泌された古くなった皮脂、同じく新陳代謝の過程で皮膚から剥がれ落ちた古くなった角質などを常在菌が分解します。この分解の過程で常在菌は脂肪酸や保湿成分などを生成するのですが、これらがその性質上弱酸性になっている為、頭皮を含めた皮膚や髪の毛は弱酸性になっているのです。

なぜアルカリ性の洗浄成分を利用した洗剤がたくさんあるのか?

先ほど紹介した通り皮膚や髪の毛は弱酸性です。そのため、「弱酸性には弱酸性の洗浄成分で洗ったほうが優しい」という考えから数多くのメーカーが弱酸性の洗剤を発売しています。弱酸性の《メリット》や《ビオレ》などはTVCMなどでお馴染みなのでご存知の方も多いと思います。

ただそんな中でも石鹸を始めアルカリ性を洗浄成分にした洗剤が未だに使い続けられているのは何故なのでしょうか?これにはいくつかの理由があります。

環境に優しく洗浄成分が皮膚に残りにくい

アルカリ性洗浄剤の代表ともいえる石鹸について言うと、まずは環境に優しいということがあげられます。あくまで石鹸がという話になってしまいますが、石鹸は動植物の脂を原料にしているため、生分解性がとても良い洗浄剤と言えます。生分解性が良いということは微生物がその物質を分解しやすいということを指します。

つまり、微生物によって石鹸が分解されると、有機物から無機物に変わり環境に害を与えにくい物質となるのです。

皮膚に付着している汚れに強く、洗い流すと皮膚に残りにくい

アルカリ性である石鹸の特徴に皮膚に付着する(しやすい)汚れにとても強いことがあげられます。例えば、皮脂汚れや垢などのタンパク質を含んだ汚れです。

皮脂汚れの皮脂は皮脂腺から分泌され時間が経過し古くなったもので、phは弱酸性を示します。石鹸は弱アルカリ性で皮脂汚れとは全く逆の性質を示します。つまり汚れとは逆の性質を示す洗浄成分を使い中和作用を利用することで汚れを落としやすくしているのです。

また、石鹸にはタンパク質を構成するアミノ酸の結合を緩める働きがあります。人間の体はタンパク質の塊です。そのため、垢や血液汚れ等のタンパク質汚れにとても強いのです。

皮膚(頭皮)や髪の毛のことを考えるのであれば【酸性】OR【アルカリ性】?

天秤イメージ画像結局、皮膚や髪の毛のことを考えるのであれば、【酸性】OR【アルカリ性】どちらの洗浄成分を使用すれば良いのでしょうか?インターネット等で調べてみると酸性・アルカリ性共に賛否両論で意見は割れていますが、実際は酸性の洗浄成分が正解となるでしょう。

ただ、これは石鹸をはじめ石鹸系シャンプーやドラックストアなどで販売されているアルカリ性の洗浄成分を使用した洗剤を否定している訳ではありません。アルカリ性洗浄成分にも良いところはたくさんあります。その中の1つにアルカリ中和能の強化があげられます。

アルカリ性洗浄成分はアルカリ中和能を鍛えてくれる

私たちの皮膚は雑菌や紫外線などの外部刺激や、肌の保湿を保つため通常pH5前後の弱酸性になっています。ですが、お風呂に入りお湯や石けん、シャンプー剤を使用することで必ずpHの値が高くなり中性・アルカリ性側に傾きます。

皮膚がアルカリ性に傾いている時間が長く続くと、敏感肌や肌荒れの原因になってしまいますが、皮膚の健康状態が良好であれば人為的に何かをしなくても自然にpHは弱酸性に戻っていきます。これは、皮膚に生息する常在菌が自身が生息・繁殖しにくい中性・アルカリ性に傾いた皮膚に反応し生息・繁殖しやすい弱酸性に戻そうと働きかけるからで、この機能のことをアルカリ中和能と呼びます。

つまり、アルカリ性の洗浄成分を使用し皮膚をpHをアルカリ性側に傾けることによりアルカリ中和能の働きを向上させることができると言われているのです。もちろん前述で説明しているように、アルカリ性の洗浄成分は皮膚の酸性汚れに強かったり、アルカリ性洗浄成分でできている石鹸は環境にとても優しい等のメリットもあります。

ではなぜ弱酸性の洗浄成分が正解になるのか?

○×イメージ画像要は体質や現在の頭皮や髪の毛の状態に合った洗浄成分を使用することがとても大切になってくるのです。弱酸性の洗浄成分の特徴は洗浄成分が皮膚と同じ弱酸性であるため、優しく洗いあげることができるということが一番にあげられます。少しネガティブな言い回しをすると洗浄力が弱いということが言えるのです。

ただ、【はげ】を改善・予防するためには、まず髪の毛や頭皮の環境を整える必要があり、この環境を整えるにはアルカリ性洗剤のような洗浄力の強い洗剤よりも、たとえ洗浄力が弱くてもキューティクルを引き締め、頭皮のバリア機能や保湿効果を維持しやすい弱酸性洗剤が圧倒的に適しているのです。

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逆に言うと、髪の毛や頭皮の環境が整っていて外部刺激に強い状態が整っているのであれば、アルカリ性洗浄成分を含む洗剤を使用してもほとんど問題がなく、洗浄力が強く汚れをきっちり落としてくれるため爽快感を得ることができます。

その弱酸性洗浄成分、大丈夫?

【はげ】を気にする人の中には既に弱酸性の洗浄成分を使用している方もいるかもしれません。でも少し待ってください。その弱酸性洗浄成分、大丈夫ですか?弱酸性シャンプーの中には、はげ予防に適していない成分が含まれているものもあり、全ての弱酸性洗浄成分がはげ予防に効果が期待できるものではないのです。では早速詳細を見ていきましょう。

はげ予防の観点から見るシャンプーの正しい選び方

今までさんざん薄毛・抜け毛対策をするのならpHは弱酸性が良いとお伝えしてきましたが、シャンプー剤を選ぶ際は他に考慮すべき重要な要素が存在します。それが界面活性剤の種類です。界面活性剤とはシャンプーでいうところの洗浄成分にあたり、界面活性剤は大きく

  • 【アミノ酸系シャンプー】
  • 【石鹸系シャンプー】
  • 【高級アルコール系シャンプー】

の3種類に分かれます。細かいことは「シャンプーの(洗浄成分)種類と若はげにおすすめなシャンプー」で紹介していますが、はげ予防を考えるのであれば、【アミノ酸系シャンプー】が最もその効果が期待できます。逆に【高級アルコール系シャンプー】は、はげ予防の観点からはあまりオススメできません。

何が言いたいのかと言うと、弱酸性のシャンプーには、はげ予防に適した「アミノ酸系シャンプー」と適していない「高級アルコール系シャンプー」が存在しています。そして、ドラックストア等で購入できるほとんどのシャンプーは、はげ予防に適していない「高級アルコール系」の洗浄成分を使用しているのです。

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弱酸性で高級アルコール系の洗浄成分が使われている理由

ではせっかく「肌や髪の毛に優しい弱酸性シャンプー」なのに、どうして「肌や髪の毛に刺激の強い高級アルコール系の洗浄成分」が使用されているのでしょうか?理由は大きく2つあげられます。

1つめの理由に洗浄力の弱さがあげられます。
弱酸性の洗浄成分は皮膚や髪の毛とpHが近いため、刺激を与えず優しく洗い上げることができるのですが、洗浄力が弱いということがデメリットとしてあげられます。抜け毛や薄毛等の問題を抱えているのであれば、弱酸性シャンプーは適していますが、問題を抱えていない大多数の人にとっては洗浄力に物足りなさを感じてしいまうのです。

そのため、シャンプーメーカーは万人受けしやすいよう弱酸性シャンプーでありながら洗浄力を強めるために「高級アルコール系」の成分を使用するのです。はげ対策で弱酸性シャンプーを使用しているのであれば、本末転倒な話です。

2つめの理由にコストが上げられます。
「弱酸性+アミノ酸系」の洗浄成分は、はげ対策にとても適していますが、天然由来成分を多く使用するため大量生産ができず、なおかつ原材料費が高くついてしまいます。大量生産するためには、大量生産が可能でコストが安く済む「高級アルコール系の洗浄成分」が適しているのです。

まとめ

頭皮や髪の毛の水溶性の性質はpH5前後の弱酸性が最も健康的な値となり、シャンプー剤を選ぶときには頭皮や髪の毛と同じ弱酸性のものがおススメです。弱酸性のシャンプーを使用することでキューティクルを引き締める収れん作用や髪の毛の保湿力が向上し抜け毛・薄毛予防効果が期待できます。

また、シャンプー剤を選ぶ時には【弱酸性】という言葉だけに惑わされずに洗浄成分についても、「高級アルコール系」ではなく「アミノ酸系」の洗浄成分を選ぶようにした方が良いでしょう。

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髪の毛の基礎知識 記事一覧
  1. 髪の毛の働き
  2. 髪の毛が生える仕組み
  3. 髪の毛の構造
  4. 髪の毛が1日に抜ける本数
  5. 髪の毛とアミノ酸
  6. 髪の毛を構成している18種るアミノ酸
  7. 髪の毛の一生【ヘアサイクルー毛周期】
  8. 髪の毛とビタミン
  9. 髪の毛のpH《酸性とアルカリ性の関係》

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