髪の毛とビタミン
髪の毛を生み出す毛母細胞や毛乳頭が新しい細胞をつくるためにはバランスの取れた栄養素が必要です。中でも【髪の毛を構成している18種るアミノ酸】や【髪の毛とアミノ酸】で紹介している、食物からの摂取が必要な必須アミノ酸はとても重要です。
この必須アミノ酸と同様に食物からの摂取が必要な毛一つの重要な栄養素、それがビタミンです。ここではビタミンに焦点をしぼって各ビタミンが髪の毛に与える影響についてまとめています。
13種類のビタミンとサプリメント
一口にビタミンといってもその働きは様々で【働きや効果】【摂れる食品】などから13種類に分けられ、水に溶けやすいビタミンは【水溶性】、油に溶けやすいビタミンを【脂溶性】と呼んでいます。
水溶性のビタミンは熱に弱いので生で食べたり加熱時間を短くすることで、脂溶性のビタミンは油と一緒に摂取することで効率よく体内に吸収することができます。下の表は13種のビタミンを表にまとめたものです。
水溶性ビタミン一覧 | ||
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名称 | 主な働き | 含まれる食品 |
ビタミンB1 | エネルギー代謝を向上 | 豚肉・豆腐 |
ビタミンB2 | 脂質代謝・髪の毛を構成するアミノ酸代謝の向上 | 牛乳・卵・レバー |
ナイアシン | 糖質代謝・脂質代謝の向上 | カツオ・マグロ |
ビタミンB6 | 髪の毛を構成するアミノ酸代謝の向上 | カツオ・マグロ |
ビタミンB12 | タンパク質・赤血球の生成 | 魚介類・肉・卵 |
パントテン酸 | 糖質代謝・脂質代謝の向上 | 肉・卵 |
ビオチン | 頭皮や髪の毛の環境を整える・脂質の合成・糖質代謝・脂質代謝の向上 | 豆腐・レバー・卵黄・緑黄色野菜 |
葉酸 | DNAの合成・細胞分裂の促進 | 緑黄色野菜・卵 |
ビタミンC | コラーゲンの生成・抗酸化作用 | かんきつ類・イチゴ |
脂溶性ビタミン | ||
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名称 | 主な働き | 含まれる食品 |
ビタミンA | 皮膚・粘膜環境を整える | レバー・うなぎ・にんじん |
ビタミンD | カルシウムの吸収率UP・骨形成の向上 | サケ・さんま・干ししいたけ |
ビタミンE | 抗酸化作用・血行の促進 | 大豆油・植物油 |
ビタミンK | 血液凝固作用 | 大豆・海藻・ほうれん草 |
もちろんすべてのビタミンが髪の毛にとって良いというわけではありません。以下では良くも悪くも髪の毛に影響力の強いビタミンについて解説していきます。
ビタミンB2
ビタミンB2は水に溶けやすい水溶性ビタミンの一種で頭皮を含めた皮膚や粘膜の環境を調整を助ける働きがあり、牛乳・卵・レバー・納豆・うなぎなどに多くふくまれます。
また、髪の毛はアミノ酸が結合したケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されていて、ビタミンB2は脂質と共にタンパク質の代謝効率を助ける働きがあります。結果、皮膚・爪・髪の毛などの細胞の働きが活発化、肌荒れ予防や抜け毛改善などの効果が期待できます。
ビタミンB2は不足してしまうと、皮膚環境が悪化してしまい皮膚(頭皮)の炎症や口内炎などの症状が出てしまう可能性があります。逆に摂りすぎてしまっても、余分なビタミンB2は尿と一緒に排出されるので問題は無いとされています。
ビタミンB6
ビタミンB2同様にアミノ酸代謝の向上を助ける働きがあるのビタミンB6。
またビタミンB6はタンパク質の代謝し髪の毛を生成するエネルギーや細胞をつくりだします。ビタミンB6は皮膚環境を整える働きがあるため、不足すると湿疹や皮膚炎・口内炎などの症状が現れる場合があります。
逆に摂取しすぎると、感覚神経に障害が出る可能性があるといわれています。ただし、これはサプリメントなどで人為的に大量に摂取した場合、体調が悪い、もしくは抗生物質を服用している場合など腸内細菌叢からのビタミンB6の供給が減少している場合に発症するとされていて、一般的な食生活であれば、普段の食事からビタミンB6を取りすぎてしまうことはほとんど無い。
ビオチン
ビオチンは頭皮や髪の毛の環境を整える水溶性ビタミンです。ビオチンは腸内細菌叢から供給されるので、よっぽど偏った食生活をしない限り欠乏症になることはありません。但し、体調の悪化やそれを治療するための抗生物質等の影響で腸内細菌叢からの供給が乱れると欠乏症になる可能性があります。
ビオチンは、適量ならば【肌荒れ改善】【抜け毛予防】【白髪予防】【疲労感減退】などの効果が期待できますが、欠乏してしまうと、頭皮の炎症・白髪などをはじめ、【結膜炎】【不眠】【疲労感】などの様々な症状があらわれてしまうとされています。
ビタミンE
ビタミンEは油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分類され、大豆油・植物油などに含まれているビタミンとなります。
ビタミンEは抗酸化作用を持つビタミンです。私達人間はエネルギーを作り出すために酸素を肺と血管を通じて体中に運搬します。ただ、酸素には酸化作用と呼ばれる体を「サビさせる」働きを持ちます。りんごの皮を剥いた後しばらく放置しているとりんごの表面が褐色に変色すると思います。原理はこれと同じです。人間の場合はこれが老化として現れるわけです。
具体的には肌のシミが増えたり、潤いやハリが失われたりします。血管も硬くなり【動脈硬化】血液の運搬能力が低下すると共に心筋梗塞や脳梗塞リスクを高めてしまいます。この酸化を防ぐ手助けをしてくれるのがビタミンEの抗酸化作用です。
髪の毛を育てる栄養素は血管を通して運搬されていますので、酸化(老化)によって血液の運搬能力が低下すると当然【はげ】が進行してしまいます。体や髪の毛の健康を考えるならビタミンEはとても重要な栄養素と言えるでしょう。
ビタミンA
ビタミンAはレバーやうなぎなどに含まれているビタミンで脂溶性ビタミンに分類されます。主な働きは皮膚や粘膜の環境の調節・目の健康維持・抗酸化作用などがあげられます。
ビタミンAはごくごく一般的な食生活をおくる健常者であれば、不足する危険性はほとんどありません。これは毎日の食事から十分に摂取でき、なおかつ肝臓で十分な量を蓄えることができるからです。ただし、ビタミンを消費してしまう病気や抗生物質・また飲酒が常習化している場合などはビタミンが大量に消費されてしまい欠乏症になってしまう可能性があります。ビタミンAが不足してしまうと、爪や髪・皮膚などが乾燥してしまいウイルスや細菌に感染しやすくなってしまいます。
逆に過剰摂取してしまうと数多くの障害が現れることがわかっています。頭痛や吐き気を初め疲労感や肝臓肥大・脱毛などもビタミンAの過剰摂取で進行してしまうことがわかっています。
体にも髪の毛にも栄養バランスが大切
ここでは特に髪の毛と関わりの深い、5つのビタミン【ビタミンB2・ビタミンB6・ビオチン・ビタミンE・ビタミンA】についてまとめてきましたが、これらだけを積極的に摂取するのは体にとっても髪の毛にとっても決して良いことではありません。ビタミンAに限って言うと、【はげ】を進行させてしまう可能性さえあります。
また、残り8種のビタミンも髪の毛と無関係ではなく全てのビタミンの働きが総合的に作用し身体や髪の毛の健康を保ちます。栄養バランスを意識することは身体にとっても髪の毛にとっても良いことであるということを覚えておきましょう。