髪の毛の働き
何百万年前もの大昔、私たちの祖先は身体のほとんどを体毛に覆われていたと言われています。これは外敵から身を守ったり、衣服のない時代に暑さや寒さから体を守る為に必要だったとされています。
文明が進歩していくにつれ祖先は知恵をつけ捕食されることが少なくなり、また毛皮などの衣服をまとうことにより、暑さや寒さから身を守る術を学習していきます。そのため、体毛は徐々に必要性がなくなり退化していったと考えられています。そんな進化たどる人間の体毛で最も多くの毛が今でも残っている部分が頭皮であり髪の毛です。
髪の毛もそうですが、私たち人間の体はとても機能的につくられていて、それぞれがなんらかの役割をになっています。例えば
口は「呼吸」「味覚」「会話」「表情」
鼻は「吸気の湿度・温度調整」「嗅覚」
目は「視覚」
耳は「聴覚」
などがあげられます。
若い世代にとって、髪の毛は洋服やアクセサリーなどと同じでファッションの一部となっていますが、進化の過程をえてもこれだけの量の髪の毛が頭皮に残っているということは、髪の毛も口や鼻・目や耳といった器官と同様にファッション以外にもとても重要な働きを担っているということが言えるでしょう。
紫外線から頭皮を守る
太陽から放出されている紫外線は肌に様々な悪影響を及ぼします。
太陽から放出される紫外線は波長の種類から、
- 物質を透過し雲などの影響を受けにくい「UVA」。
- そのほとんどが大気圏で吸収され1割程度しか地表 に届かない「UVB」。
- 地表には届かない「UVC」。
の3つに分けることができます。
髪の毛は皮膚(頭皮)にとって刺激の強い紫外線から皮膚(頭皮)を保護する働きを持っています。
UVAが肌に与える悪影響
UVAは太陽から放出され地球の地表に届く紫外線の焼く9割を占めています。UVAの特徴はメラニン色素を酸化させシミの原因を作ったり、肌のハリや弾力を失わせます。
その進行速度はとてゆるやかな為、UVAが悪影響をもたらしていることに気がつかず、気づいたときには症状がかなり進行してしまった後。という人 も少なくありません。また、UVAは物質を透過しやすく曇りの日でも地表に届きます。
UVBが肌に与える悪影響
UVBは地球の地表に届く紫外線の1割と割合は少ないですが、肌への作用がとても強いのが特徴です。肌に与える症状は主に日焼けで、肌が炎症したり、その数日後はだが黒く変色するのはこのUVBの影響です。
もちろん頭皮も肌なので、上記で説明しているような悪影響を及ぼします。さらに頭皮の場合は、髪の毛を作り出す毛母細胞にもダメージを与え、髪の毛の成長を妨げることがわかっています。
また、紫外線は頭皮の色素幹細胞にも作用して、白髪になる原因の1つにもなります。髪の毛はこのように頭皮に様々な悪影響をもたらしてしまう紫外線から頭皮を守る働きを持ちます。
ここで注意したいのが紫外線が髪の毛に与える影響です。確かに髪の毛は紫外線から頭皮を守る働きがありますが、髪の毛自体ももちろん紫外線の影響 を受けてしまいます。
具体的には髪の毛は紫外線の影響を受け、「保湿力が低下しパサつく」「ツヤがなくなる」「強度の低下」「色素の消失」などがあげられます。
頭皮に直接紫外線を浴びるよりはよいですが、髪の毛自体にも帽子を被るなどして紫外線対策をした方が良いでしょう。最近では髪の毛UV対策用のスプレーやクリームなども市販で販売されているので一度チェックしてみましょう。
物理的な衝撃から脳や頭皮を守る
心臓や胃・肺・肝臓などの様々な臓器は私たち人間が生命活動を行うためにとても重要な臓器であるため、分厚い筋肉や脂肪・骨などで厳重に保護されています。
では同じく重要な器官である脳はどうでしょうか?
脳は物事を記憶したり、考えたり、する器官であると同時に「運動」「触覚」「味覚」「聴覚」など様々な感覚を統合する場所でもあります。極論をいうと脳は体のすべてをコントロールしている司令塔の働きを持ちます。
これほど重要な器官にも関わらず頭皮には他の臓器を保護するような筋肉や脂肪がほとんどありません。その代わりとして脳を丸々覆う頭蓋骨とさらに、その周りに頭蓋骨自体に加わる衝撃を緩和するために髪の毛があるのです。
髪の毛1本だと衝撃を全くと言っていいほど吸収してくれませんが、その量がまとまると髪の毛がクッションの役割をしてくれ、ある一定の衝撃なら吸収し重要な器官である頭蓋骨や脳を守ってくれるのです。
暑さ・寒さから頭(脳)を守る
人間の脳は実は暑さ、寒さに敏感に反応し時に大きく体調を崩してしまう場合があります。例えば、寒い冬の時期に暖房のよく効いた暖かい部屋から寒い場所に移動すると脳溢血(のういっけつ)で倒れてしまう場合があります。これは急激な温度変化に脳が対応できなかったため起こります。
私たちの人間の髪の毛は約10万本程度といわれており、1本1本の間に空気の層を作り、急激な温度変化から脳を守る働きを持っています。
これにより夏は直射日光の温度上昇から、冬は天然の毛糸の帽子のように寒さから脳を守ります。
身体にとって有害な物質を体外に排出する
私たちは生きていくうえで、どうしても体内に毒素とも呼べる有害物質を取り入れたり、代謝の副産物ともいえる老廃物が体内に蓄積されていきます。
これらの毒素や老廃物は肝臓や腎臓などの働きで便や尿として体外に排出するのですが、意外にも実は髪の毛も毒素や老廃物を体外に排出する機能を備えています。
髪の毛は血液から栄養をもらい成長します。この時体内で分解・排出しきれない毒素・老廃物があると、これらは血流にのり頭皮に集まります。この時髪の毛の成長のために血液から育毛に必要な栄養素を取り入れる過程で、同時に毒素や老廃物を髪の毛の中に取り入れ体外に排出します。
つまり髪の毛が健康であれば、体内の臓器の補助的役割を果たしてくれるわけです。逆に髪の毛が毒素や老廃物を排出してくれる機能が低下すればその分他の臓器に負担をかけることになります。
ちなみに犯罪捜査などで毒物の特定に髪の毛が採取されるのは、この髪の毛の毒素・老廃物の排出機能があるためです
感覚器官としての働き
髪の毛を切っても(痛みなど)何も感じないことでもわかるように髪の毛自体には神経は通っていませんが、髪の毛と頭皮の接触部分には多くの知覚伝達神経が通っています。
髪の毛を軽く触ってみて下さい。神経が通っていなくとも髪の毛に何かが触れていることがはっきりとわかると思います。これは毛根部分の知覚伝達神経がとても敏感に反応してるためです。
このことにより、私達人間の髪の毛は動物(猫や犬)の「ひげ」や昆虫の「触覚」のように身の周りに迫る危険を敏感に感じ取ることが出来ると言われています。
まとめ
このように、髪の毛には非常に大切な働きがあるのです。ですが、AGA-男性型脱毛症などの脱毛症が進行してしまい髪の毛の健康な成長が妨げられてしまうと、これら重要な髪の毛の働きが機能しないことになります。
例えば、髪の毛が少なくなると、頭皮にとって有害な紫外線を(帽子等をかぶらないと)防ぐことはできません。同じ理由で寒さや暑さにも無防備になってしまします。もちろん、頭に強い衝撃を受ける緩衝材の役割も果たせず、髪の毛が健康に成長しなければ、体外に毒を排出機能も低下してしまいます。
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