髪の毛の構造
私たちの人間の髪の毛の約85%は18種類のアミノ酸が結合したケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されています。残りは、メラニン・水分・糖質などで構成されています。つまり髪の毛の大部分がアミノ酸を主成分にしていて、これらの成分を効率よく摂取・生成することが健康な髪の毛を成長させるための基本となってきます。ここでは、18種類のアミノ酸を主成分とする髪の毛の構造について見ていきたいと思います。
同じケラチンでも見た目や硬度が違う
ケラチンは髪の毛の他にも、爪や皮膚の主成分でもあります。ですが、同じケラチンを主成分にしていても「髪の毛」「皮膚」「爪」と見た目も硬度も全く違います。これはアミノ酸結合の割合がそれぞれ違うためで、配合率を変化させることでそれぞれが目的に沿って形や硬さを変化させています。このケラチンは硬さによって硬質ケラチンと軟質ケラチンに分かれます。
例えば爪は、指先やつま先に力を効率よく伝えたり、細かい作業が出来るように硬いケラチンである硬質ケラチンに。皮膚の角質層は体中に栄養分が行き届くように軟らかいケラチンである軟質ケラチンとなっています。
髪の毛は軟質ケラチンである皮膚が変化して出来たものですが、爪同様に「脳や頭皮を守る」という目的のために硬質ケラチンとなっています。
髪の毛は3つの層に分けることができる
右のイラストは髪の毛1本の断面図です。髪の毛はこのようの大きく3つの層に分けることができています。外側から順に
- 毛表皮(キューティクル)
- 毛皮質(コルテックス)
- 毛髄質(メデュラ)
と呼ばれていてそれぞれが、いろいろな役割を担っています。
毛表皮(キューティクル)
キューティクルは髪の表面をウロコ状に覆っていて3つの層のうち最も薄い層となります。キューティクルは通常髪4枚~7枚程度重なっていて、汚れやホコリなどが髪の毛に付着しにくくしたり、髪の毛に蓄えられている水分や栄養分が外に逃げないように髪の毛を保護する働きを持ちます。
また、手触りや見た目にも影響がでやすく、キューティクルが痛んでると見た目もパサパサ・柔軟性も徐々に失われ、切れ毛等の原因にもなります。キューティクルは皮膚などとは違い自然治癒力がないため、一度傷ついてしまうと、その髪の毛を「切る」か「抜け落ちる」まで痛んだままとなってしまうので、日頃のケアが非常に重要になってきます。
毛皮質(コルテックス)
髪の毛の約80%はこのコルテックスとなります。コルテックスは、髪の毛の弾力やハリなどと深く関わっていて、水になじみやすい性質をもちます。髪の毛が紫外線から頭皮を守る働きは、このコルテックスに多く含まれているメラニン色素が関係しています。
メラニン色素を多く含むコルテックスは紫外線から頭皮を守る働きを持つ他、髪の毛の色とも深く関わっています。人間の髪の毛の色はメラニンの量と種類によって決定されているのです。
まずメラニンの種類についてですが、黒色・茶褐色の真性メラニン(ユーメラニン)と赤褐色・黄色のフェオメラニンがあります。アジア・日本人の髪の毛の地毛が黒色をしているのは、コルテックスに真性メラニンを多く含みその濃度が高いためです。ちなみに日本人でも地毛が茶褐色になっているのは、割合的には真性メラニンの方が多いが、その濃度が低い為となっています。
逆に、欧米人等に見られる金髪・ブロンド髪はフェオメラニンの割合が多くなおかつ、その濃度が低いことが条件となっています。フェオメラニン割合が多くその濃度が濃い場合は髪の毛の色は赤み方向に傾きます。
これらメラニンは髪の毛を作り出す毛母細胞にあるメラノサイトで生成されコルテックス内に取り込まれていきますが、メラノサイトの働きが低下してしまいメラニンが生成されないようになると髪の毛は色を失い白髪となってしまいます。
毛髄質(メデュラ)
メデュラは丁度髪の毛の中心にあり、髪の毛の硬さ・太さに大きく関係しています。また構造上多くの気泡を含み保湿機能を高める働きがあるといわれています。気泡を含んでいるため外部からの刺激で隙間ができやすく、この隙間が多くなると髪の毛に当たった光が乱反射してしまい髪の毛が白っぽく、不健康に見えてしまう場合があります。
一般的に髪の毛が太く硬い人はメデュラ部分が太く、逆に細く柔らかい人はこのメデュラ部分が細くなっています。赤ちゃんの髪の毛が細く柔らかいのはこのメデュラが細い(または無い)為です。
繰り返しになりますが、髪の毛は頭皮の一部が変化して出来たのもですが、皮膚などと同じような自然治癒力はありません。そのため、一度傷ついてしまうと、抜け落ちるか、切るまではその傷んだ状態が続くことになります。普段からのケアがとても大切です。