髪の毛の一生【ヘアサイクルー毛周期】

はげ予防を語る上でヘアサイクルは最も重要なワードです。【はげ】る原因のほとんどはこのヘアサイクルが関わっていて、【はげ】を予防・改善するためにはこのヘアサイクルをいかにコントロールするかにかかっています。ヘアサイクルは薄毛・抜け毛を予防するための知識としては基本中の基本であると同時に最も重要な部分になってきます。

そもそもヘアサイクルとは?

私達人間の髪の毛は約10万本といわれており、その一本一本に寿命があることをご存知でしょうか?人間を含め全ての生き物に寿命があるように、髪の毛自体にも単独で寿命があるのです。

髪の毛の寿命は部位にもよりますが、4年~6年程度となります。では髪の毛が生え始めてから4年~6年で【はげ】てしまうのかというとそうではありません。髪の毛は短い一生を終えると同じ毛穴から新たな髪の毛が生えてきて常に一定量の髪の毛を保とうとするのです。この繰り返しを「hair cycle‐ヘアサイクル【和名:毛周期】と呼びます。

脱毛症、特に男性のほとんどの【はげ】の原因であるAGA-男性型脱毛症はこのヘアサイクルが乱れることにより起こってしまうのです。このヘアサイクルが乱れなければ、本来人間の髪の毛は簡単に抜け毛が増加したり、薄毛が進行したりしないのです。

3つの期間に分かれるヘアサイクル【毛周期】

前述の通り髪の毛は4年~6年程度で抜け落ち、同じ毛穴からまた新しい髪の毛が生えはじめます。この髪の毛の寿命の繰り返しをヘアサイクル【毛周期】と呼び、このヘアサイクル【毛周期】は大きく3つの期間《成長期・退行期・休止期》に分かれます。

ヘアサイクルGoodイメージ画像

成長期-3年~5年程度-ヘアサイクル全体の約90%

健康な髪の毛の一生のほとんどはこの成長期になります。成長期の期間は3年~5年程度となり、ヘアサイクルの中で最も重要な期間になります。成長期はヘアサイクル【毛周期】の実に90%を占めていて、この期間は髪の毛を作り出す毛母細胞が活発に細胞分裂を繰り返し髪の毛を1日に約0.3mm・1ヶ月に約1cm程度成長させます。

この成長期の期間はただ髪の毛を伸ばすのではなく、髪の毛を太く丈夫にする期間となります。髪の毛が太くなるということは頭皮に対して髪の毛の表面積が広がる(髪密度が増加する)ことになり、結果【薄毛】の予防になり、髪の毛が丈夫になれば、【抜け毛】や【切れ毛】が減ることになります。

また、成長期はさらに細かく《早期成長期》《中期成長期》《後期成長期》に分かれます。

早期成長期

休止期を終え、新しい髪の毛が成長を始める期間でこの期間の髪の毛は毛根内に隠れていてほとんど頭皮の外には出ていません。役目を終えた古い髪の毛が頭皮に残っている場合は新しい髪の毛が古い髪の毛を押し出す時期でもあります。

中期成長期

髪の毛が頭皮から飛び出す時期です。新しく生まれた髪の毛の毛先が顔を出している状態なので、まだまだ髪の毛自体細く弱弱しく見える期間となります。

後期成長期

頭皮に流れる血液から育毛に必要な栄養分を取り込み毛母細胞か活発に細胞分裂を繰り返す、成長期の中でもっとも重要な期間となります。この時期にはただ単に髪の毛が伸びるだけでなく、太く・丈夫な髪の毛が育つ時期となります。

抜け毛が薄毛が進行してしまっている多くの場合は、何らかの理由で後期成長期が短縮してしまっていることが原因となっています。さらに深刻な場合は、中期成長期まで短縮させてしまう場合があります。つまり「ヘアサイクルの乱れ」=「成長期の短縮化」ということになります。

退行期-2週間~3習慣程度-ヘアサイクル全体の約2%

ヘアサイクルの中で最も短い期間がこの退行期です。その期間は後期成長期を終えてからたったの2週間~3習慣程度で全体の2%程度となっています。退行期に入ると成長期に活発に細胞分裂を繰り返してきた毛母細胞の活動が弱まり、2・3週間後には完全に髪の毛の成長が止まります。また、髪の毛の司令塔とも呼べる毛乳頭と分離され髪の毛全体が頭皮に向かって少しずつ上昇し始めます。髪の毛が抜ける一歩手前ですね。

この期間には毛根の形状も変化していきます。成長期の毛根はマッチ棒のような形状をしていてキュっとしまっています。これが退行期に入ると毛根の角化が進むため白くなっていき形状も棍棒(メンボウ)状になっていきます。髪の毛が棍棒状になるため、この時の髪の毛状態は棍毛(こんもう)と呼ばれ、棍毛になった髪の毛は健康に育って役目を終えた髪の毛と言えます。

ちなみに、抜けた髪の毛をじっくり観察してもらえば、髪の毛の状態がある程度わかってきます。前述の通り髪の毛が棍毛になっていれば基本的に問題はありません。しかし髪の毛の形状が棍毛以外ならなんらかのトラブルを抱えている可能性があります。

例えば、抜けた髪の毛の根元にびっしりと皮脂がこびりついている場合は、脂漏性脱毛症の可能性があります。その他にも女性特有の脱毛症である【びまん性脱毛症】があげられます。通常髪の毛は根元である毛根付近は太く毛先に行くにつれて細くなっていきます。ですが、びまん性脱毛症は根元も細くなってしまう脱毛症で、部分的ではなく髪の毛全体が薄くなっていくのが特徴です。

休止期-3ヶ月~4ヶ月程度-ヘアサイクル全体の約13%

退行期が終わると約3ヶ月~4ヶ月程度の休止期に入ります。ヘアサイクル全体の約13%程度となるこの期間は髪の毛を作り出す毛母細胞の細胞分裂が完全にストップし、退行期に移動し始めた髪の毛がさらに表皮に向かって上へ上へと移動していき、その下では新しい髪の毛が生える準備が始まります。

この時期の髪の毛は毛穴に入ってはいるものの頭皮とは定着してはおらず、洗髪やブラッシングなどで簡単に抜け落ちてしまいます。【はげ】を気にする人は休止期の抜け毛を気にしてしまいますが、休止期に髪の毛が抜けるのは当たり前のことなので気にする必要はまったくありません。

古い髪の毛が抜け落ちた後再び成長期の早期成長期に入っていきます。毛乳頭より栄養を受け取った毛母細胞の分裂が活発化し同じ毛穴から新たな髪の毛が生え始めます。これがヘアサイクルの一連の流れとなります。

具体的にヘアサイクルが乱れるとどうして【はげ】が進行する?

「ヘアサイクルが乱れると薄毛が進行し、抜け毛が増加する。」よく聞かれる言葉ですが、具体的にどうしてヘアサイクルが乱れると【はげ】が進行してしまうのでしょうか?

ヘアサイクルが乱れると「【はげ】が進行してしまう。」という結果は重要です。ですが、そのプロセスを知ることは結果以上に重要です。このプロセスを知ることでもしかすると、今あなたが行っているはげ対策は変わってくるかもしれません。では早速見ていきましょう。ヘアサイクルが乱れるとヘアサイクルは以下のようなサイクルに変化します。

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前述でも説明している通り「ヘアサイクルの乱れ」=「成長期の短縮化」です。成長期は「早期成長期」「中期成長期」「後期成長期」に区切られますが、どの程度成長期が短縮されるかは人それぞれ個人差があり「後期成長期」が丸々短縮されてしまう場合や、ひどい場合は「中期成長期」から「退行期」までが一気に短縮されてしまう場合もあります。

では、成長期が短縮されてしまうとどうして【はげ】が進行してしまうのでしょうか?成長期が短縮され髪の毛が抜けてしまっても、同じ毛穴からまた新しい髪の毛が生えてくるのであれば【はげ】にならないような気がします。しかし成長期が短縮されてしまうと確実に抜け毛・薄毛が増えていきます。

成長期が短縮されると【はげ】が進行してしまう2つの理由

成長期が短縮されて薄毛が進行したり、抜け毛が増加するのには2つの大きな理由があります。どちらの理由も髪密度と関係があります。

1.髪の毛が太くならない

髪の毛の成長で重要なことは長く伸ばすのではなく、太く育てることです。下のイラスト見ていただくと一目瞭然だと思います。

左右のイラストの髪の毛の本数は数えていただいたらわかるように同じ6本です。(もちろん頭皮の面積-サイズは同じです。)ですが、見た目髪の毛が多く見えるのは右のイラストとなります。もちろんこれは髪の毛の太さが違うためこのような見た目の差が生まれます。そもそも日本人の髪質は本数は少なく太いという特徴があります。ヘアサイクルが乱れ本数が少なくなり髪の毛自体が細くなると見た目がどうなるか容易に想像がつくと思います。

髪の毛が太く育つのはヘアサイクルの成長期、特にその中でも一番期間の長い後期成長期に太く育ちます。この期間が短くなればなるほど、やせ細った髪の毛しか育たなくなってしまうのです。

2.髪の毛が長く伸びない

「1の髪の毛が太くならない」と同じくらい深刻な問題として成長期が短縮されると髪の毛が長く伸びないという問題があります。この長くというのは女性のような30cmや40cmといったロングヘアのことを言っている訳ではありません。成長期が短縮されてしまうと、部位によっては、2~3cmといった短い長さにも成長しない場合があるのです。これは通常、3年~5年程度あるとされる髪の毛の成長期が2~3ヶ月に短縮されているということを意味します。

髪の毛の太さと比べると薄毛に対する影響はそれほど強いと言えませんが、同じ髪の毛の細さであっても頭皮に対する髪密度を上げようとすると髪の毛の長さもある程度必要になってくるのです。

理由を2つに分けて説明しましたが、成長期が短縮されるとこれら2つが同時に起こることになります。
太さ・長さの違いイメージ画像

さらに、成長期が短縮されるということはヘアサイクル全体が短縮されるのということになります。これはつまり、4年~6年程度育つはずの髪の毛が数ヶ月から1年程度で抜け落ちることになるので、抜け毛の本数が圧倒的に増えることになりまります。また、ヘアサイクルの乱れを放置していると、髪の毛を作り出す毛母細胞が髪の毛を作り出すことすらストップさせてしまう場合があります。
AGA【男性型脱毛症】進行イメージ画像
ヘアサイクルが乱れるということは、正常時と比べるとこれ程の差が生じてしまうのです。ではヘアサイクルが乱れてしまったら、また乱れてしまったヘアサイクルをどのように正常化すればよいのでしょうか?

ヘアサイクルが乱れる原因と改善方法

極論を言ってしまうと、およそ身体にとって悪いと想定されることは全てヘアサイクルの乱れの原因になってしまいます。例えば、偏った食生活や睡眠不足・飲酒や喫煙、過度なストレスもヘアサイクルの乱れの原因になります。これらの原因はある程度意識をすれば改善することが可能ですが、意識しても改善できない原因が1つあります。それが体質です。

人はそれぞれ、身長が伸びやすい体質・伸びにくい体質、体重が増えやすい体質・増えにくい体質等、個々それぞれに特有の体質があるように、薄毛や抜け毛が増加しやすい体質とその逆で増加しにくい体質があります。【はげ】に悩む人にとっては羨ましい話ですが、脱毛症になりにくい体質の人の中にはどれだけ食生活が乱れても、睡眠不足の生活が続いても、飲酒や喫煙を常習していたとしても、【はげ】にならない人もいます。もちろん当然この逆もあります。

そして、この体質の原因となるのが遺伝です。遺伝と聞いてしまうと、諦めがちになってしまいますが遺伝だからと言って諦める必要は一切ありません。そもそも薄毛が進行したり抜け毛が増加する体質は遺伝することはわかっていますが、決して【はげ】が遺伝する訳ではありません。さらに、薄毛・抜け毛の専門治療の医術開発も進んできているので、諦めず自分に合ったはげ対策を進めていきましょう。

【はげ】やすい体質が遺伝する仕組み

遺伝子イメージ画像まずは【はげ】やすい体質が遺伝する仕組みについて簡単に紹介していきます。

まず人間の染色体は通常23対・46本あり、この内の1対・2本が性を決定する性染色体となります。この性染色体の1つであるX染色体に【はげ】になりやすい遺伝情報が含まれていることを、ドイツのボン大学・研究チームより発表しています。そしてこの発表により重要なことが見えてきます。

男性は性染色体である、X染色体・Y染色体を1本ずつ、女性の場合はX染色体を2本持っていて、生まれてくる子供は両親から各1本ずつ性染色体を遺伝することになります。

この時XYになれば男の子・XXになれば女の子となります。男の子になるために必要なY染色体は父親からしか遺伝しないので、Y染色体を遺伝した時点で対となるX染色体は必ず母親から遺伝することになるのです。つまり【はげ】やすい体質の遺伝情報を含むX染色体は母親から遺伝されるということになるのです。

銀クリAGA.comなどを始め最近のはげ専門病院では、脱毛症が本当に遺伝によるものなのかどうか、またそれに対する治療薬に効果が期待できるかどうかを調べる「遺伝子検査」を実施しているところもあります。

乱れたヘアサイクルを通常のヘアサイクルに戻す為には

育毛剤や育毛シャンプー等数多くの育毛アイテムが販売されていますが、一度ヘアサイクルが乱れてしまうと、全く効果がない訳ではありませんが、市販で販売されているような育毛アイテムを使用してもヘアサイクルを乱れる前に戻すのは難しいでしょう。

ヘアサイクルを改善に向かわせる方法はたくさんありますが、その中でもまず最初にしていただきたいことは、生活習慣の改善です。先ほども少し触れていますが、偏った食生活や睡眠不足、飲酒・喫煙・ストレス等の身体に悪い全てのことは薄毛に繋がっています。

ただし、仮にこれら全ての対策を試みても【はげ】の進行が止まらない場合もあると思います。そんな時は【はげ】専用の治療薬や専門クリニックがあるので、そちらを頼ってみてもよいかもしれません。【はげ】専用の治療薬については、【はげ薬】で専門クリニックは【はげ治療専門クリニック】で紹介しています。

髪の毛の基礎知識 記事一覧
  1. 髪の毛の働き
  2. 髪の毛が生える仕組み
  3. 髪の毛の構造
  4. 髪の毛が1日に抜ける本数
  5. 髪の毛とアミノ酸
  6. 髪の毛を構成している18種るアミノ酸
  7. 髪の毛の一生【ヘアサイクルー毛周期】
  8. 髪の毛とビタミン
  9. 髪の毛のpH《酸性とアルカリ性の関係》

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