紫外線が頭皮・髪の毛に与えるダメージ

紫外線がシワやシミの原因になるのはTVCMや雑誌などで度々取り上げられているので有名な話ですが、髪のけや頭皮に与えるダメージについてはそれほど知られていません。実は紫外線はシワやシミを作るだけでなく、髪の毛や頭皮にもダメージを与え【はげ】の進行に深く関わっています。ここでは紫外線が髪の毛や頭皮に与える影響について詳しく説明していきます。

そもそも紫外線とは?

紫外線イメージ画像太陽はその膨大な太陽(光)エネルギーで良いも悪いも含めて地球や人間に様々な影響を与えます。日中は太陽の光のおかげで物が良く見えるのはもちろん、熱エネルギーで地表を温めたり、また全ての物に赤・青・黄色・緑などの様々な色があるのもこの太陽のおかげです。

そもそも太陽がなければ地球は誕生しておらず、太陽が無くなれば地球には動物や植物も含め全ての生命は死滅してしまうと言われています。少し話がそれてしまいましたが、この太陽の光エネルギーの中に紫外線が含まれています。太陽の光は大きく3つの光に分類することができます。

1つ目が紫外線です。紫外線は目に目で見ることができない光です。後で詳しく説明していきますが、周波の長い方から【UV-A】【UV-B】【UV-C】に分かれます。2つ目が目で確認が出来る光(可視光線)です。私たちの世界に色があるのは可視光線の働きです。そして3つ目が赤外線です。赤外線は者を暖める働きがあります。赤外線のコタツやヒーターなどを想像してもらえると分かりやすいでしょうか。地球が生物が生存できる温度なのはこの太陽からの赤外線の働きが大きいです。

これらの光は周波の長い順から赤外線・可視光線・そして一番短い周波の光が紫外線となります。

紫外線の種類と頭皮へのダメージ

太陽の光はのその周波の長さでその特性が変わり周波の長い順から赤外線・可視光線・紫外線と3つに区分されています。そしてこの紫外線自体もその周波の長さでさらに細かく【UV-A】【UV-B】【UV-C】の3つに分かれています。

UV-A (315-400 nm)

紫外線の中で最も周波が長いのがこのUV-Aです。
UVーAの特徴としては、それ自体はそれほど強いエネルギーを持っているわけではありませんが、雲や一般的な窓ガラスではほとんど遮断することができません。また紫外線と言えば夏をイメージしますが、UV-Aは1年を通して降り注いでおり、地表に届く紫外線の約95%がこのUV-Aとなっています。

UV-Aは紫外線としてのエネルギー自体は弱いので、短時間浴びても頭皮も含め皮膚にはほとんど影響ありません。ただし、UV-Aは浴びた分ゆっくりですが、確実に皮膚に吸収され蓄積されていきます。その一部は肌の表皮を浸透し真皮層まで到達しコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを作り出す繊維芽細胞にダメージをあたえてしまいます。これらは肌のハリや弾力と深く関わっておりその量が減少してしまうと、肌のシワやたるみに繋がってしまいます。

本来、肌のシワやたるみは年齢を重ね老化が進むにつれてゆっくり進行していきます。これは自然の摂理・生理現象であるため、これを止めることは基本的にはできません。ただUV-Aはその浴びた総量が多ければ、自然老化とは全く関係なく皮膚(頭皮)を老化させてしまいます。このことを光老化と呼び、多くの女性が紫外線対策に躍起になっているのはこの光老化を防ぐためですね。

この光老化は頭皮にも起こりえます。ハリや弾力が失われるとうことは頭皮が固くなってしまうということです。固くなるのは皮膚だけではありません。血管も同じことが言えます。【血管が固くなる=血液の流れが悪くなる】ということになります。髪の毛は血液からその成長に必要な栄養を受け取っているため、頭皮の血液の流れがわるくなってしまうと、当然髪の毛にとって必要な栄養分が行き届かないことになってしまいます。

【はげ】とはそれほど関係はありませんが、UV-Aを浴び続けることでシミの原因にもなります。UV-Aを浴び続けると、表皮の最下層のメラノサイトを刺激してしまい、メラニン色素を作り出します。このメラニン色素がシミの原因になってしまうのです。

UV-B (280-315 nm)

UV-Bは地表に届く紫外線の約5%と少ないですが、紫外線としてのエネルギーがとても強くUV-Aが時間をかけてゆっくりダメージを蓄積していくのに対して、短時間のうちに表皮にダメージを与えてしまうのが特徴です。太陽との直線距離が短くなる夏季にその影響が最も強く、雲や窓ガラスである程度遮断することが可能です。またUV-Aのように皮膚内部の真皮に到達することはほとんどありません。フロンガスなどによるオゾン層破壊で起こる地球への悪影響を及ぼす紫外線はこのUV-Bのことを指しています。

肝心な皮膚に与える影響ですが、一番わかりやすいのが日焼けです。UV-Bはその強いエネルギーで短時間で表皮の細胞にダメージを与えます。その結果、皮膚が赤くなりヒリヒリする日焼け(サンバーン)になったり、皮膚が黒くなる日焼け(サンタン)になったりひどい場合は皮膚癌の原因にもなってしまいます。

頭皮イメージUV-Bは頭皮に与えるダメージも深刻です。基本的にはUV-Bは髪の毛がその大部分を吸収してくれはするのですが、それでも頭皮にも届き確実にダメージを与えます。

UV-Bは短時間で皮膚を炎症させます。これは頭皮にも同じことが言えます。もともと頭皮には皮脂腺から皮脂を分泌することで紫外線から頭皮を守るという機能が備わっています。夏場頭皮がUV-Bにさらされ続けると頭皮を守ろうと皮脂腺から大量の皮脂が分泌されます。これが夏場の顔や頭皮のベタつきの原因となります。

皮脂は紫外線から頭皮を守るバリアの働きがありますが、UV-Bの照射に長い間耐えることはできません。頭皮の細胞は確実にダメージを受け皮膚が炎症してしまいます。その結果UV-Bは毛穴の奥にある髪の毛を作り出す毛母細胞にダメージを与えてしまい、【はげ】を進行させてしまいます。

UV-Bによる髪の毛のダメージはこれだけではありません。
先ほども言いましたが、UV-Bに頭皮が照射され続けると頭皮や髪の毛を守るために皮脂腺から過剰に皮脂が分泌されます。この過剰な皮脂分泌も【はげ】の原因になってしまいます。

皮脂分泌そのものは決して悪いものではなく、皮脂自体が【はげ】を促進することも無いといわれています。ただし角質と皮脂が混ざり合い毛穴全体を覆う角栓(かくせん)になってしまうと問題です。角栓も皮脂のバリアの働き同様に通常の大きさなら毛穴の中を雑菌から守る大切な役割があるのですが、過剰な皮脂分泌が起こってしまうと角栓が通常以上に肥大化してしまい、毛穴周りを広範囲に塞いでしまうことがあります。こうなると、角栓が毛穴を塞いでいるため毛根が圧迫され髪の毛が育ちにくい状態になっていると言えます。

その他にも肥大した角栓は毛穴に常在菌の異常繁殖の原因になったり、紫外線や空気などにより酸化し悪臭を発生させてしまうこともあります。

UV-C (100-280 nm)

紫外線の中で最も周波が短いのがこのUV-Cです。UV-Cは3種の紫外線の中で最もそのエネルギーが強くUV-B以上に皮膚癌のリスクが高くなるとされています。もちろん頭皮・髪の毛にとってもそのダメージは想像を絶するでしょう。ただ、UV-CはUV-B以上に成層圏で(オゾン層に)吸収されてしまうため、現在のところ地表までは到達しておらず、今のところUV-Cに対する【はげ対策】は不要となります。

ただし楽観視はできません。
フロンガス等による大気汚染が原因でオゾン層の破壊が進行してしまうと、今後UV-Cへの対策が必要な時代が来るかもしれません。

また、皮膚癌などの様々なリスクが格段にUPしたり、皮膚に照射されてしまうと数秒で火傷・水ぶくれを起こし皮膚がただれてしまうとされていますが、まだまだ未解明な紫外線なので、人体への影響は計り知れません。仮にUV-Cが地表に降り注ぐような時代がくるとすれば、地球上の生物の存続の危機になるかもしれません。【はげ対策】どころではありません。

紫外線が髪の毛に与えるダメージ

ここまでは紫外線である【UV-A】や【UV-B】に頭皮がさらされることにより、血行不良・過剰な皮脂分泌・毛母細胞の機能の低下などについて説明してきましたが、ここからは紫外線が髪の毛自身に与えるダメージについて解説していきます。

キューティクルへののダメージ

kouzou紫外線はまずキューティクルへ深刻なダメージを与えます。キューティクルのおさらいですが、髪の毛は大きく3層構造になっていて一番外側から
毛表皮(キューティクル)・毛皮質(コルテックス)・毛髄質(メデュラ)となっています。

このキューティクルは4枚から7枚程度重なった丁度魚のウロコの形態をし、二層目にあたる毛皮質(コルテックス)を覆っています。

キューティクルには髪の毛の健康を保つ働きがあり、保湿力を高めたり、手触りの良いしなやかな髪の毛にする働きがあるのですが、紫外線でキューティクルがはがされてしまうと、これらの機能を失うことになってしまいます。髪の毛のごわつき・パサつき・コシのなり軟毛・切れ毛など様々な髪の毛のトラブルはこの紫外線でキューティクルにが壊されることにより起こっている可能性があります。

メラニン色素の分解

メラニンと聞くと何が想像できるでしょうか?
女性なら特に気にしている人も多いと思いますが、メラニンは肌のシミの原因になります。これはただ単に紫外線の影響でシミになっているわけではありません。メラニンには紫外線から皮膚を守るという働きがあるのです。つまりシミができているということは、皮膚の基礎層にあるメラニン色素を生成するメラノサイトが必死に皮膚を紫外線から守ろうとしてくれているのです。

余談ではありますが、人種によって肌の色や髪の毛の色が違うのは【黒っぽいユーメラニン】と【黄色っぽいフェオメラニン】という2種類のメラニンの比率が異なるためです。

少し話が脱線してしまいましたが、このメラニンは髪の毛にも含まれています。(日本人は個人差はあるもののユーメラニンが多いため黒い髪の毛となります。)髪の毛に含まれるメラニンの働きは色を作り出す働きと髪の毛に降り注ぐ紫外線を吸収する働きがあり、一定量の紫外線から髪の毛を守る働きがあるのです。ただし、強い紫外線を浴び続けると髪の毛に含まれるメラニン色素が分解されてしまい、紫外線を吸収することができなくなり、さらにメラニン色素が減少するため黒かった髪の毛が赤茶っぽい色目に見えたり、光の反射で白く見えたりまた細く不健康な髪に見られがちです。

特に、ヘアカラー後には注意が必要です。
ヘアカラーは薬品の力で髪の毛のメラニン色素にダメージを与えて髪の毛の色を変色させます。メラニンは紫外線から髪の毛を守る働きがあるので、ヘアカラーでメラニン色素がダメージを受けてしまうと、紫外線に対する髪の毛の抵抗力が著しく低下してしまいます。加えて、ヘアカラーはキューティクルを開いてしまう性質があり、髪の毛の保湿力や手触りなどが悪くなる場合があります。

対策としては保湿効果の高いトリートメントをすることが有効です。髪の毛は自己回復能力がないため、一度キューティクルが開いて保湿力が下がったり手触りが悪くなると、髪の毛のヘアサイクル【毛周期】で新しい髪の毛に生え変わるまでは基本的にはそのままですが、トリートメントをすることである程度のダメージは修復することが可能です。

【はげ】を防ぐための紫外線対策

このように紫外線は髪の毛や頭皮にとって良いものではありません。できるだけ紫外線を浴びないよう心がけるのは当然ですが、その他にも様々な紫外線対策があるので紹介していきます。

通気性の良い気持ち大きめの帽子を被る

「帽子を被るなんて紫外線対策をするなら当然」と思われがちですが、ポイントは【通気性】と【大きさ】が大切ということをご存知ですか?間違った帽子選びをすると紫外線から頭皮を守れても他の要因で【はげ】が進行してしまう場合があります。

帽子は紫外線を防ぐためにはとても便利なアイテムです。ただし帽子は頭皮の蒸れや血行不良の原因になります。頭皮の蒸れや血行不良、これらはどちらも頭皮や髪の毛にとって良いものではありません。頭皮の蒸れを解消するために【通気性の良いものを】。きつい帽子をかぶって頭皮の血行が悪くならないように【気持ち大きめの帽子を】選ぶようにしてあげましょう。

また、夏場の帽子は汗などが付着して雑菌が繁殖しやすい状態となているので、洗う頻度をあげるなどして、帽子自体を衛生的にすることも大切な【はげ対策】となります。詳しくは【帽子やヘルメットをかぶるとハゲる?】で紹介しています。

日傘を活用する

日傘は女性が使うイメージが強いですが、昨今では男性用の日傘もたくさん販売されています。日傘は帽子と比べると密閉性が少ないため、帽子ほど紫外線を防ぐことはできませんが、日傘は【髪型が崩れない】【通気性が良い】などのメリットがあります。

日傘選びのポイントもちろんUVカット率です。なるべくUVカット率が高いものを選ぶようにしましょう。ただし盲点となるのが日光の照り返しです。紫外線はあらゆるもので反射してしいまいます。

例えば、新雪では約80%・砂浜では約25%・水面では約20%・アスファルト・土・草地では約10%紫外線が反射するとされています。反射した紫外線が日傘の内側にあたるとそれがまた反射して髪の毛や頭皮に紫外線ダメージを与えてしまうのです。

できれば、日傘を選ぶときは外側のデザインだけではなく内側の生地の色にも注意しましょう。紫外線は暗い濃い色に吸収される性質があるため、日傘の内側は黒がベターです。白色や黄色・クリームなどの明るい生地色は紫外線を反射させやすいのでできるだけ避けるほうが良いでしょう。

屋内でも油断しないように!

屋内にいるからといって、油断してはいけません。
地表に届く紫外線は2種類。1つはシワやシミなどの光老化と深く関係しているUV-A。そしてもう1つがUV-Aと比べ紫外線のエネルギー量がかなり大きいく短時間で皮膚や頭皮を延焼させ毛母細胞にまでダメージを与えるUV-B。

この2つの紫外線の特徴として、オゾン層や一般的なガラス、雨雲などではそのほとんど遮断することができないUV-Aと、そのほとんどを遮断することが可能なのがUV-Bとなります。もちろん地表に届く紫外線はオゾン層や雨雲などで遮断できないUV-Aがほとんどです。そして繰り返しになりますが、UV-Aは一般的な窓ガラスでは遮断することできないので、窓際でうっかり日向ぼっこをしながら昼寝なんかしてしまうと、肌や頭皮にダメージを与えてしまいます。

また直接紫外線を浴びなくても窓から入り込んだUV-Aは屋内の壁や床に反射してゆっくりですが確実に頭皮(皮膚)にそのダメージを蓄積していきます。

UVカットカーテンイメージそこで活躍してくれるのがUVカットができるカーテンです。

最近では窓ガラス自体をUVカット仕様にできたり、一般的な窓ガラスにフィルムを貼り付けることで紫外線を軽減できるものもあります。窓の外に【すだれ】を立てかけるのも良いでしょう。

紫外線が強い季節・時間を把握する

紫外線は季節や時間によってその降り注ぐ量にかなりばらつきがあります。当たり前と言われれば当たり前ですが、基本的には夏や日差しの強い日中には多く、冬や日差しのない夜には紫外線量は少なくなります。ただこれではざっくりしすぎているので、もう少し細かく解説していくことにします。

まずは月別に見ていきます。
東京の月別紫外線量
これは東京の紫外線量を月別に示したグラフです。
グラフを見てもわかるように紫外線量は夏に集中しているわけではなく、4月~9月にかけて高い値が続いています。つまり冬はともかく春だからといって紫外線対策を怠ってしまうと、髪の毛も頭皮も思わぬダメージを受けてしまう可能性があります。

ちなみに下記は北海道と沖縄の紫外線総量月別グラフです。
北海道の月別紫外線量
沖縄の紫外線月別グラフ
同じ日本国内でも紫外線量はこれだけバラつきあります。

次に時間帯別の紫外線量を見ていきます。
茨城減つくば市の時間帯別紫外線量
観測地点により紫外線量はバラバラですが、その増え方や減り方はほぼ同じです。グラフをみてもわかるように、紫外線量は10時~14時の間は急激に上がりそれ以外は比較的低い値を示しています。

紫外線はそのエネルギーが強ければ強い程、頭皮や髪の毛に与えるダメージは大きくなるため、しっかりとした紫外線対策が必要となります。詳しい紫外線の量は気象庁のHPなどで確認できるので、紫外線が強い季節・時間帯にはしっかりとしたUV対策をするようにしましょう。もちろん紫外線量を調べること自体も立派な紫外線対策です。

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  1. AGA【男性型脱毛症】の遺伝
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  4. ストレス解消ではげ予防
  5. 紫外線が頭皮・髪の毛に与えるダメージ
  6. 帽子やヘルメットをかぶるとハゲる?
  7. 睡眠不足では元気な髪の毛は育たない
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